【グラスマーカー】立食ギャンブルからの脱出
立食パーティーはギャンブルだ。
その華やかな場では"ご歓談"がメインイベントなので、状況によっては20近いグラスが常にテーブルを出入りする事になる。そもそも、それが良ろしくないのだと思う。
人の話を聞いていて、ふとテーブルに視線を戻すと、もう自分のグラスを見失っている。私の場合は3分前後で判らなくなる事が多く、手に取ったグラスに『人の飲みかけだったらどうしよう…。』とビビりながら口を付ける事も珍しくない。その瞬間にまじまじとゆらぐ水面を見てみたりもするのだが、万が一そこに何か浮いているのを発見してしまった時なんてのは、それはもうかなりの恐怖的状況と言えるだろう。
そんな静かなギャンブルから足を洗う為には、やはりグラスマーカーなるものを用意するしかないのだろうか。
グラスマーカーとは、グラスの飲み口や足にひっかけてマイグラス識別に一役買うアイテムだが、用途が用途だけに気取ったデザインのモノが多かった。特にスワロフスキーやシルバーで作られたモノは値段も高く、そのジュエリー様のビジュアルからはなんとなく、《立派なパーティー専用》的オーラが放たれているのだった。
その点、このマーカーはカジュアルでいい。私が参加可能な軽いパーティーならテーブルの上で悪目立ちする事もないだろうし、様々なカラーがセットになっているから、飲み物の色と相性の良いマーカーを使い分ける事も可能だ。
更に、1個150円という価格は非常に安価であり、それ故グラスをマーカーごと下げられても動転しなくて済むであろうという安心感と自信は、私にとって重要なポイントとなってくれている。
しかしまぁ実際、これを買ってまで使うかと聞かれたら返答に困る。
偶然何かの拍子に手元にあったら使ってみたくなるだろうという、あったらいいけど無くても困らないアイテムの一つだ。
ただ万が一本当にこのアイテムを使う時には、自分の名誉の為にも『洋服売り場のハンガーについているアレではない。』と仲間にひとこと伝えておいたほうが良いだろう等と、いらぬ心づもりだけはしている。
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