【文房具】豊富な色で能率コントロール

pantone.jpg一口に"色"といっても大雑把なとらえ方から厳密なものまで様々あるわけで、世の中に潜むミドリを例に挙げてみても"ちょっと黄ばんでて薄くて渋いカンジのミドリ"から、"弾けるまぶしさの若々しいミドリ"まで途方もない数のミドリが存在しているのである。
ただ、人間が主観でこういう表現をしてしまうと、聞き手は別の"ミドリ"を想像してしまうかもしれない。それを防ぐ為、色の忠実なる再現が特に求められる印刷業界等には共通認識として《色の見本帳》なるものが用意され、お互いこれを参照しつつ『PMS346のミドリ』と伝えたりしているわけである。

この印刷用の色見本帳にも色々あるのだが、中でもアメリカのPANTONE(パントン)シリーズや大日本インキ化学工業が用意しているDIC(ディック)カラーガイドが有名どころではないかと思う。

色の洪水に弱い私は、単語カード状に整然と纏められた色見本帳を見ると軽い動悸に襲われる。デフォルトの見本帳でもドキドキしているのに、紙質による色再現比較の為にツヤのある紙、ない紙、白の強い紙…などでそれぞれ刷り分けられていたりするからもう大変。美しいグラデーションをパラパラマンガのようにめくっては『この沢山の色をどうしてやろうか…。』等と、やけにムラムラとしてしまうのだが、それははそれ、別にどうにもならない。

そんな”色いっぱいフェチ”に嬉しいシリーズが去年の秋に発表された。それが《PANTONE UNIVERSEシリーズ》なのだが、正確には伊藤忠がパントン社と《PANTONの色》を国内で商品化する為のライセンス契約を結び、諸々展開予定のシリーズ…となっている。

日本でのシリーズ商品化は、まず文房具から開始された。
これはサンスター文具というところが作っているもので、ノート、メモパッド、ファイルボックス等様々なアイテムが用意されている。それぞれは1週間(7日)の朝・昼・晩をイメージした3トーン21色のバリエーションで基本構成され、色にはスカイウェー(航空路)、ブレイジングイエロー(燃え上がる黄色)、オーキッドブルーム(蘭の開花)といった携帯電話の色表現顔負けの名前が付けられている。

残念ながら商品の現物写真はまだ雑誌でしか見ていないが、パントンの色見本帳を模したシンプルでスタイリッシュなノートのデザインなどはとても秀逸であり、その色の美しさには仕事の内容によって無駄に色分けを楽しんでしまいそうな魔力を感じる。選べる色が多いという事は、それだけでもう使い手にとって楽しいのだ。

かの電通は、名刺片面のべた塗り色を100種類の中から自由に選ばせてもらえるという。微妙な色の違いから個人の人柄を表現しているようだが、似たような考えで文具の色一つで気合いや思いを表現してみるのもなかなか面白く、気負わず豊富な色を自由に扱いこなす姿は見ていてとても格好が良い。
年始や4月という区切り良い日をきっかけに、ポリシーを持った沢山の色達を手元に置いてみるのはどうだろうか。

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余談ですが、PANTONのアルコールマーカーは粒子が細かく最高です。
お手頃なコピックの8倍位は具合良く、アルコール系マーカーの中では最高峰だと思ってるんですが、高いのが難点。おススメです。

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《色が語るパントン製品 / 150円〜》
↑商品購入ページ見つからず、業界系ニュースから。
該当記事はページ真ん中あたりにありますが、肝心の格好いいノートの写真が見れず残念。一部ロフトでは既に販売されているらしいのですが。